キャリアコンサルタントが語る:若手社員向け【周囲を巻き込む】伝え方

「キャリアコンサルタントが語る:若手社員向け【周囲を巻き込む】伝え方」のレポートをお届けします。


ビジネスパーソンが社内だけでなく、社外のプロジェクトで効果的なコミュニケーション力を発揮するための本講義。外部講師としてキャリアプロデューサーの境野今日子氏をお招きしました。2部構成でワークも交えた、充実の90分となりました。


1部:プロジェクトを成功に導くポイント

講師:K.K 

株式会社セラク  キャリア形成課

―略歴― 通信・家電業界を中心に複数の業界を横断して、数多くの顧客の課題解決に取り組む。現在は、株式会社セラクにて、エンジニアとしての知見を活かして、IT技術者採用、教育研修、社員のキャリア形成支援等、多方面で活動中。


プロジェクトのキーパーソンは誰か

社外を巻き込む大きなプロジェクトに関わる場合、周囲の協力を引き出す必要があります。そのために押さえておくべきポイントは、関係者の洗いだしとキーパーソンの特定です。プロジェクトが予定より1〜2年も長引いている場合、実権を握るキーパーソンに近づけていないケースが非常に多いそうです。


- 関係者の洗いだしとキーパーソンの把握 -
1 巻き込むべき関係者の把握(どこの部署に所属して、どういう仕事をしているのか)
2 取り組みに影響を及ぼす組織・人物の把握(キーパーソンの特定)
3 関係者毎の立場や関心事、自分との関係性


関係者の中でも協力的な人=サポーターを発見しておけば、キーパーソンに結びつく近道を作ってくれる可能性があります。自分が関わっているプロジェクトの「キーパーソン」と「サポーター」が誰か分からなければ、今すぐ作戦を練り直した方が良いかもしれません。


プロジェクトの成功の先に

多くの関係者を巻き込むプロジェクトを成功させられるようになる度に、巻き込み力は向上します。広い視野で物事をとらえる力が養われ、相手の立場や感情に適したコミュニケーション能力が身につくでしょう。


自分の物指しではない「理論にもとづいたコミュニケーションの実践」が、組織の枠をこえたビジネスリーダーへの道筋になりそうです。


2部:先輩・後輩との良い関係を築く基本スキルを学ぶワーク

講師:境野 今日子

キャリアプロデューサー

―略歴― 中央大学卒業後、NTT東日本に入社。秋田支店 オフィス営業部に配属後、総合病院を中心とした法人ユーザーに対し、 セキュリティ対策を担当。その後、帝人株式会社 人事部 採用グループに転職。現在は、フリーランスのキャリアコンサルタントとして大学生や社会人を対象とした講義、カウンセリング業務に従事する他、絵本作家とのコラボ企画など、領域の枠を超え活動中。


ジョハリの窓

第2部はワーク中心の講義。前半はジョハリの窓という、コミュニケーションを円滑に進めるための心理学モデルを体験。自己紹介を重ねていくことで相手の印象がどう変わっていくか、2人1組で試してみました。


他人に自分を伝えるだけでなく、自分の気づいていない自分(の印象)を伝えてもらうことで、お互いの距離がグッと縮まっていきます。たった5分の自己開示だけで緊張が解け、会場の雰囲気が柔らかくなるのを感じました。

▽ジョハリの窓を体験。1回目と2回目の得られた情報量の差で相手の印象は変わる。
・1回目の自己紹介:名前・職業
・2回目の自己紹介:住まい・出身地・趣味


準拠枠とハロー効果

後半のお題は

・とにかく話を聞いてくれない先輩への対処法

・やる気が全くない後輩への対処法


とにかく話を聞いてくれない先輩への対処法として、境野氏が語ったのは準拠枠という概念。


例えば「アップル」という単語から連想するものを問われると、食べるアップル・iPhoneのアップルなど、答えは人によって様々です。アップルの例のように、物事を認識・判断する基準(これを準拠枠と言います)が先輩と後輩でも違います。


先輩が話を聞いてくれるのは当たり前なのか。もしかしたら、先輩は後輩を突き放すのが当たり前だと思っているかもしれない。自分の理想を先輩に押し付けていないだろうか。相手の理想は・・?という身近に起こりうるケースを用いた、非常に考えさせられる内容でした。

やる気が全くない後輩への対処法として、境野氏が挙げたのはハロー効果


ハロー効果とは、部分的な評価だけで、その人の全体評価を決めてしまうこと。例えば、2回遅刻しただけで「アイツは毎回遅刻する」と評価してしまうような傾向を指します。後輩に対しても、部分的な評価でやる気がないと決めつけている可能性があるということです。


ハロー効果の他にも、主観での偏った見方で相手の評価を決めてしまうケースは往々にしてあります。個人が抱える事情を配慮して、耳を傾ける大切さを教えてくれました。


▽後輩の抱える事情の一例
・先輩に萎縮して聞けない
・やり方がわからない

・家庭の事情があるので、残業できない


さいごに

プロジェクト成功のためのコミュニケーション理論や、自己開示や他者評価の重要性を身にしみて感じた90分。参加者からも、仕事とプラベート両方で活用していくという声をたくさんいただきました。


講義後には懇親会も開催しております。懇親会では講義内容はもちろん、テーマに沿った内容について登壇した講師直接ご質問いただけますので、興味のある方はぜひご参加ください。


今後も「みんなの情熱大学」にご期待ください。

(写真・文:H.S@Web課 Webディレクター)