持田 宏平(株式会社セラク みどりクラウド事業部 事業部長)
2004年に株式会社セラクに入社。SEとして開発業務を行うかたわら、スマートフォンアプリやIoTサービスの研究開発を行う。2010年に天ぷら侍、2011年にスマート洗面台、2013年にスマート野菜工場を発表し国内外から注目される。2014年から農業IoTの研究に着手、2015年に「みどりクラウド」としてサービスを展開。
「IoT」って?
皆さんも、「IoT」(Internet of Things)という言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれません。実際に仕事で扱っている方もいることでしょう。
ですが、自身でIoTを導入したことがある人は、そこまで多くないと思います。
「IoTに興味があっても、どのように導入したらいいのかわからない」という悩みは数多く耳にします。
それは、使ったことがないため、具体的なイメージが抱けないことにも理由があります。
今回は、SONYから販売されているIoTキット『MESH』をハンズオンしてみて、IoTをより身近に感じてもらうセミナーとなりました。
IoTはどんなふうに使われているの?
セラクでは「みどりクラウド」というIoTサービスを提供しています。農業×ITで、様々な導入事例があります。
たとえば、菊栽培では、夜間に当てる光量が菊の生育に影響を与えるので、それを遠隔管理するために「みどりクラウド」が役立っています。
大きなメリットは
・計測と記録のスマート化により、今まで栽培者の経験と勘によっていたノウハウを共有できる
・現場の判断と制御にIoTを導入し、作業を省力化と生産効率の向上を可能にできる
という点です。
栽培に限らず、畜産でも導入事例があります。
たとえば、牛の発情時期に生殖が行われないと70万円ほどの損害が出るので、発情から分娩まで管理したり、転倒による牛の死亡事故を防いだりすることにもIoTは活用できます。
このように、IoTをうまく現場に導入できれば、コスト削減やリスク軽減を実現できるようになります。
さっそく『MESH』をさわってみよう!
「MESH」では、手のひらに収まる「タグ」を使って、スマートフォンのアプリから、IoTをプロトタイピングすることができます。
「MESHタグ」には、押したら入力を意味する「ボタンタグ」や、光を調節できる「LEDタグ」、加速度センサー内蔵の「動きタグ」等を含めた、7つがあります。
(+スマートフォンアプリ内にある論理タグを含めれば計8つ)
プロトタイピングは本当に簡単。
アプリ内で、「LED」や「人感」等のブロックをドラッグして画面に配置し、それを指でなぞってつなげるだけ。
あっという間に「人を感知しLEDを光らせる」プログラムが出来上がりました!
うまく応用すれば、「30度以上を感知し光ったLEDを、ボタンで消す」プログラムも、遊びながら作れます。
「MESH」の本領
どのようにタグが動いているのかというと、実はスマートフォンを介してタグどうしがやり取りしているので、ここまではまだインターネットに繋がっていません。
「MESH」の本領は、各種クラウドサービスと連携させられることです。
これを応用すれば、たとえば「人を感知したらGmailを送信する」という防犯装置が自分で作れてしまいます!
「MESH」アカウントを取得し、各種設定を終えれば、先程のように、ブロックをドラッグして組み合わせるだけで、簡単に作れます。
他にはたとえば、「温度・湿度タグで検知したデータを、逐次SNSに上げる」設定にすれば、簡易的な気象情報アカウントになります。
anyPi(エニーパイ)等のMESHハブを用意すれば、M2M(Machine to Machine)のIoTも実現できます。
30分もくもくタイム
最後の30分は、参加者が各々でIoTを構築する時間。
「GPIOタグ」を使えば、入力を元にモーターを動かす出力もできます。
(ただ電力が低いため、実用化には電池パックなど別途他のデバイスが必要となります。)
この30分で参加者の方々は、「ある程度の温度と湿度があり、かつ人感センサーが反応するとき、ファンを回す」という装置や、「人感センサーを股下に置き、スクワット回数をカウントする」装置を実際に作っていました!
「光を感知して、カーテンを開くIoT」というアイデアや、「オムツの湿度を感知して、替え時を教えるIoT」も出ました。
まだ最適なオムツ取替の適正湿度はわかりませんが、今後IoTによりデータが蓄積されれば、いずれそれがわかるかもしれません。
これからは、集めたデータが価値を帯びてくる時代なので、それを見越したIoT導入も、先行投資としては利潤に期待できるのではないでしょうか。
IoTで大切なこと
IoTを実現しようとすると、組み込みやネットワーク、ソフトウェア等、様々な構築技術を要します。
いろいろアイデアは浮かびますが、実際にやってみると、思い描いていた結果とは、違った結果になることのほうが多いです。
ですから、実際に活用できるかを試すPoC(概念実証)が大切です。
今回のハンズオンセミナーでは、それを強く実感することができたと思います。
恒例の懇親会では、恒例のピザ!
参加者からは
「大変有意義な時間でした」
「通常の業務とは関係ないのですが、とても良い経験ができました」
などのコメントをいただきました!
こうした交流の機会もセミナーの醍醐味ですね。
記事:A.T.
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