2018年7月20日に開催された「みんなの情熱大学」のテーマは、【明日から始められるように解説!「工数を削減できる」探索的テスト入門】です。
「記述式テスト」と「探索的テスト」の違いを学び、グループに分かれ実際に「探索的テスト」を使いアプリのバグを見つける講座です。
今回参加された多くの方々が、普段の業務でもアプリのテストをしているようです。
それでは、当日の様子をお伝えします。
登壇者紹介
株式会社セラク 植田 雅行 (Ueda Masayuki)
―略歴―
セラク入社後、スマホアプリ開発に従事。 大手携帯電話メーカーにて、プリインストールアプリの開発およびテストマネージャに従事。 探索的テスト導入によるテスト工数の削減を実現し、最高評価を得る。 現在は、セラク社内にてプロジェクトマネージャーを担当。
•探索的テストと記述式テスト(スクリプトテスト)の違い
「記述式テスト」は、既に記述されているテストの順序通りに実施するテストのことで、「探索的テスト」は、思考をしながら不具合が起こりそうなところを探しテストする方法のことです。
それぞれのやり方にはメリット・デメリットがあります。
記述式テスト メリット
・網羅性がある
・同じ結果
・エビデンスが明確
記述式テスト デメリット
・工数が多くなる
・不具合発見性が低い
・時間がかかる
・単純作業になりがちで作業者のモチベーションが下がりやすい
探索的テスト メリット
・少ない工数で不具合が見つかる
・レアケースの試験が実施できる
・テスト設計の時間の短縮
・モチベーションを高める効果が期待できる
探索的テスト デメリット
・網羅性が無い
・作業者の経験スキルに依存
・エビデンスとして成立しにくい
植田さんはアプリのテスト管理業務を行う際、今まで記述式テストを導入しているところへ探索的テストも導入しました。その結果、大幅に工数を減らすことに成功し費用を1/3まで削減することができたそうです。
植田さん:
「今回のグループワークを通じて、探索的テストを知ることで実際の仕事の工数削減につなげていただければと思います。」
•探索的テストを実際に体験
探索的テストを学んだ後はグループワークです。某飲食店のアプリを参加者全員でダウンロードして不具合を探していきます。
•チーム分け
参加者は4人から5人のメンバーでグループを作りました。
Android端末を持参した参加者のチームが1グループ、iPhone端末を持参した参加者のチームが2グループ出来ました。
•実施前ミーティング
グループに分かれたらまずは話し合いです。
どのようにテストをしたら効率的にバグが発見できるか話し合います。
植田さん:
「テストはいきあたりばったりで行っても効率が悪いです。
・サービス的観点
・ネットワーク観点
・操作的観点
これらの3つの視点から考えてテストを行ってください。」
•探索的テスト実施
グループ同士で簡単に打ち合わせを終えたら、テスト開始です。
テスト時間の15分間は皆さん黙々と端末を操作していきます。
なにか不具合が見つかれば付箋にその内容を書いて後でグループの中で共有します。
•実施後ミーティング
テストが終わると、ぞれぞれのグループのテーブルの上には、30個以上の付箋への書き込みができあがりました。
今度はその付箋に書かれている内容の頻度が「高い」か「低い」。
インパクトが「大きい」か「小さい」で分けていきます。
・発表
それぞれのグループで話し合いが終わった後はグループごとに発表です。
「メニュー画面を開こうとしたら開けない」
といった明らかなバグもいくつか出ましたが、
「矢印ボタンがないからスワイプすることに気づきにくい」
「【閉じる】ボタンの反応する範囲が狭すぎる」
「メニューの値段よりも栄養情報のほうが文字が大きく目立つが、消費者の気持ちを考えれば値段の文字を大きくしたほうがいいのではないか」
などのユーザ視点で見たときに使いにくい、といった使ってみて初めて気づくバグもありました。
この某飲食店のアプリの不具合を見つけるテストについて、今回テストをするアプリはとても有名な飲食店のアプリで既に10万ダウンロードされているもののため、
「たった15分で不具合なんて見つかるのだろうか。」
「多くのユーザに日頃から利用されているアプリなら、例え不具合があっても苦情が入り改善されると思いバグは無いだろう。」
と思っていました。
しかし実際には、不具合が書かれた付箋がどんどんと増えて行きました。
世の中に普及しているものであっても改善の余地があることを学んだので、
今後は、「もしかしたら何かこのアプリにも不具合があるのかもしれない」という気持ちでアプリを使いたいと思います。
・懇親会
グループワークの後は懇親会です。
「今回の経験を職場で活かし、テストの工数削減をしたい」
「普段の仕事では出会わないような方々と交流できて楽しかった」
「また興味がある講座に参加したい」
という声がありました。
参加者の中には過去にも「みんなの情熱大学」に参加してる人もいました。
植田さん:
「今回は時間的な制限などから記述式テストと探索的テストを中心に講座をしましたが、他にも様々なテスト方法があります。機会があれば他のテストについても共有したいです。」
これからも「みんなの情熱大学」は様々なテーマで開催されます。
皆様も興味がある講座がありましたら、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
【文、写真 ビジネスインテリジェンス事業部 本橋】
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