2018年6月6日に「みんなの情熱大学」が開催されました。
今回は「IoT×建設」のアイディアソンとして「未来の建設現場の形をIoTで創造しよう」が
テーマです。
アイディアソンなので、参加者のご職業は様々でした。参加者の方々は「IoTに興味がある」
「アイディアソンをやってみたい」といった強い想いがあるようです。
さあ、今回の「みんなの情熱大学」で、一体どのようなアイディアが生まれるのでしょうか?
それでは、活況をお伝えします!
登壇者紹介
羽田正沖 博士(工学)(Masaoki Haneda)
- 技術開発センター施工革新ユニット ICT情報化施工チーム 主管
戸田建設株式会社にて、情報技術を使い生産性や安全性を向上することをミッションに
IoTを始めとしたICTを駆使した取り組みを推進している。
井田 明 博士(理学)(Akira Ida)
- IoTソリューション事業部兼みどりクラウド事業部
農業IoTサービスの開発に携わりつつ、計測・ITの融合分野で新しい研究に携わっている。
東京工業大学で博士号を取得。首都大学東京・国立環境研究所・京都大学と3つの研究機関で大気の計測から大気汚染の原因究明などの基礎から応用研究に長年携わる。
その後、研究技術・知識に加え、IT技術を取り込んだ複合的な研究を行うため、セラクに入社。現職に至る。
井田さんによるセラク概要の紹介の後、羽田様から作業現場の状況について詳しく伺い、様々な課題や制約が建設現場にあることが全体へ共有されました。
【建設現場の課題】
・汲み取り式トイレの残量/建設機械の燃料残量
・防火水槽の水位
・地下ピット内作業者の管理(所在、酸素濃度)
・状況が変化する建設中の位置情報(人、モノ)
【通信上の制約】
・現場では携帯電話が届かない場合がある
・建物の中はGPSが届かない
・建物の地下部分は携帯電話が届かない
・(通信頻度は多くなくても良い)
・(位置情報は比較的アバウトでも良い)
羽田様
「建設現場では様々な制約のある中で多くの課題を抱えている状況です。
例えば現場のトイレは汲み取り式なのですが「いつ」「どのくらい」量が貯まるのか分かりにくいため、いつ回収していいのか分かりにくいのです。
他にも日々建設が進み周りの状況が変化する中で、モノの出入りが激しく、モノが紛失してしまうリスクもあります。
また、あると思っていたモノが実際には無かったりすることもあります。このような課題についてIoTを活用して解決したいです。皆様のアイディアを期待しております。」
さて、この後はアイディアソンの開始です。
皆さん活発に話し合われ、面白いアイディアが誕生しました!
参加者による投票の結果、6アイディアが出揃いました。
どれも個性的で面白そうなアイディアですね。
A.かっこいいヘルメット
B.通知ボタン
C.建設現場のマイナンバーカード
D.残量計測のふた
E.3K身代わりロボ
F.恋する建設現場
参加者は6チームに分かれ、それぞれのアイディアをブラッシュアップしていきます。
チームメンバーで話し合うことにより、アイディアがまとまっていきます。
例えばチームE「3K身代わりロボ」では「ドローン」や「自動運転」といったキーワードや「某アニメのロボット」という漠然としたイメージから始まりましたが、チームでブラッシュアップしていく中で
「人を助けるロボットというコンセプトはどうか?」
「法的な面を考えて大型ドローンではなく小型ドローンなら実現性が高いのでは?」
という意見がどんどん出てきました。
また、羽田様から「基本的に現場作業は2人1組体制で行う」という情報をいただき、
「ロボットと人でチームを作る体制を提案できるのではないか?」とアイディアが現実に即したものとなりました。
各チーム活発な話し合いが展開されました。
アイディアがまとまってきたチームから、いよいよプレゼンテーション用の資料をつくります。
パソコンで資料を作るチーム。カラフルなマーカーで模造紙に書き込むチーム。
まとめたアイディアをどう表現するか。それぞれチームの個性が見られました。
頭をいっぱい使った後は、お待ちかねの乾杯です!
乾杯挨拶の後、親しい人に挨拶をする方々や名刺交換をされる方々がおり、様々な交流が生まれてきました。
食べて飲んでの和やかな雰囲気の中、いよいよチームごとの発表です!
各チーム、短時間にも関わらず見事なプレゼンでした。
それぞれの発表内容について簡単にご紹介します。
チームA.かっこいいヘルメット
・文字通り【かっこいいヘルメット】を提案。
デザイナーによる、かっこいいデザインのヘルメット。
このヘルメットはかっこいいだけではありません。
ヘルメットにはセンサーが埋め込まれていて作業員の健康管理が行えます。
チームB.通知ボタン
・トイレットペーパーの有無やクレーンの油の状況などの管理は、人が行うのはとても大変だと思いました。そこで、簡単に管理できる【ボタン】を提案します。
このボタンは【ワンプッシュ】なのでとても楽です。
また、電池交換不要のため、応用の幅は様々です。
ボタンによって、あらゆる管理がとても便利になるアイディアです。
C.建設現場のマイナンバーカード
・今回の建設現場の現状を考えた結果、身近にある【マイナンバー】のように、現場作業員の管理が出来るシステムがあれば良いと思い提案します。
センサーの入ったカードを作業員が身につけることで、どのフロアに何人いるかなど、現場の状況を把握できます。
滞在時間もデータがとれますので、作業員に危険があった場合もいちはやく気付けます。
作業員の安全管理が徹底できるこのカード、みなさんいかがでしょうか?
D.残量計測のふた
・今回、トイレや燃料の状況が分からないことが現場の悩みだと分かりましたので、この悩みを解決するための「フタ」の提案をします。
データ集約としては基本的に携帯電波網で現場事務所に情報集約できます。
圏外の場合はハブ用衛星電話を利用します。
基本的に電源はオフで一時的に電源がオンになります。
なので、電池寿命は数本で数年持ちます。
このフタは現場の制約があるなか課題を解決できる優れものです。
F.恋する建設現場
・建築現場に女性型AIを導入することを提案します。
作業員の動きを管理し、作業員に合わせたねぎらいの言葉をかけてくれるロボです。
また、このAIは婚活サイトとつながっておりAIが蓄積した作業員ごとの仕事の成果や性格などは婚活サイト利用者が閲覧できるようになっています。
仕事がうまくいけばAI経由で婚活サイトに報告されるので作業員の仕事のモチベーションが上がり、仕事の能率も上がります。
ー会場からの質問ー
女性型AIそのものに恋してしまう人が出てきてしまうのではないか?
ーチームFの回答ー
女性型AIは恋愛禁止で作業員にも恋愛禁止を徹底させるので問題ないです!
(会場から笑いが起こる)
さて、チームE「3K身代わりロボ」は、当初考えていた現場作業巡回ロボのイメージを残しつつ、人を助けるサポート機能も兼ね備えた夢のある小型ロボットの提案になりました。
「今までの2人1組体制から、ドローンと人がペアを組む体制になりますので、人手不足の解消にも繋がります。このドローンは危険を感知できるので作業員は安全に作業が出来ます」
チームEの真剣なプレゼンに参加者は耳を傾けます。
「作業員にねぎらいのお茶をだせるようなロボット」というチームEの発表に、会場から
「お茶を運べるようなロボットだと大型になるので金額的に高額になり、落下の際に安全面が問題になるため難しいのではないか」という鋭いご指摘もありました。
発表の後、審査を経ていよいよ表彰です。
今回は「戸田建設賞」と「最優秀賞」の二つが用意されています。
「戸田建設賞」はチームB「通知ボタン」。
そして「最優秀賞」はチームE「3K身代わりロボ」でした。
「現場作業にIoTを導入する動きはどんどん進んでいます。今回のアイディアはぜひ実現して欲しい」と、羽田様よりコメントをいただきました。
今回の「みんなの情熱大学」では、参加者より
「建設現場の生の声は普段の仕事では聞く機会が無いのでとても勉強になりました」
「IoTについて学ぶことが出来た」
「様々な方々と交流できてよかった」
といった感想をいただきました。
今後も「みんなの情熱大学」にご期待ください!
【文、写真 ビジネスインテリジェンス事業部 本橋】
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